外国人新卒採用の現状と動向
日本における外国人新卒者の採用は増加傾向にあります。企業が外国人新卒者を採用することのメリット、課題、具体的な採用ステップを知り、新しい人材確保を検討してみてはいかがでしょうか。
日本における外国人新卒採用の現状
文部科学省の調査では、令和3年度に日本の高等教育機関を卒業・修了し、日本で就職した留学生の割合は46.5%です(※1)。
現在日本に留学中の学生の中でも日本での就職を希望する人は多く、「日本にある日系以外の企業(外資系企業)」「日本にある日系企業」への就職希望率の合計が9割を超えています(※2)。
(※1)参照元[PDF]:文部科学省 外国人留学生の就職促進について(令和5年6月)(https://www.jasso.go.jp/gakusei/career/event/guidance/__icsFiles/afieldfile/2023/06/06/1mnka_ryuugaku.pdf)
(※2)参照元[PDF]:キャリタス 2025年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査(2024年8月発行)(https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/08/gaikokujinryugakusei_202408.pdf)
外国人新卒者の就職率と地域差
外国人新卒者の就職率には地域差があります。東京、大阪、愛知(名古屋)などの主要都市では企業が外国人材を積極的に採用する傾向があり、令和5年10月末時点で、外国人労働者数が多い都道府県のトップ3を占めています(※)。
一方、地方では外国人新卒者の採用率が低く、地域による採用の差はまだ埋まりません。
(※)参照元[PDF]:「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和5年 10 月末時点)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195785.pdf)
外国人新卒を採用するメリット
企業側のメリット
- グローバルな視点と異文化の導入
外国人新卒者の採用により、企業内に多様な価値観や異文化が導入され、社員が新たな視点で課題に取り組むきっかけになります。これにより、組織がグローバルに対応できる力を高め、国内外の多様な顧客に対応するための土壌が整います。 - 多様性の推進とイノベーションの促進
多様な背景を持つ人材が集まることで、新しいアイデアや革新的な発想が生まれる可能性が高まります。日本とは違う文化や環境で育った社員の意見を聞くことで、イノベーションの促進が期待できます。 - 海外市場での競争力向上
外国人新卒者が母国で培った知識やネットワークを活用することで、企業が海外市場に参入する際の競争力が高まります。今後拠点拡大を狙う国や地域に強いパイプを持つ人材の採用は、現地の文化や商習慣に即した戦略展開を期待できます。 - 人材確保と採用競争力の強化
優秀な人材を確保するためには、外国人新卒者を含む多様な人材採用が欠かせません。外国人採用を進めることで企業の採用競争力が向上し、次世代を担う人材の確保が可能となるでしょう。
外国人新卒者側のメリット
- 健康保険などの充実した制度利用
日本の社会保険制度は外国人労働者も利用可能です。いざというときの備えが整っているため外国人労働者も安心して生活を営むことができます。 - ハイレベルのサービススキル習得
日本は「おもてなし」文化が根付いており、サービス業における高い品質が求められます。日本企業で働くことで、ハイレベルのサービススキルやプロフェッショナルな対応方法を学ぶことは、外国人新卒者にとっても貴重な経験となるでしょう。 - 安定した雇用とキャリア形成の期待
日本企業での経験は母国でのキャリアにもプラスに働く可能性があり、特に大企業での職務経験は履歴書の強みとなります。
外国人雇用のデメリットと課題
外国人新卒者を採用する際には、就労ビザの手続き、文化適応のための研修、採用コストの高さ、そして離職率のリスクといった課題が発生します。これらの課題を事前に把握し、適切な対応策を講じることが重要です。
就労ビザに関する手続きの複雑さ
ビザ申請の流れと必要書類
外国人新卒者の就労ビザ申請は、以下の流れで進めます。
- 出入国在留管理局の窓口での申請
- 出入国在留管理庁における審査
- 在留資格認定証明書交付
- 入国・在留
出入国在留管理局の窓口での申請時、これから入国予定の方とすでに入国済みや一定の条件に当てはまる在留外国人の方では申請書類が異なります(※)。
(※)参照元:出入国在留管理庁 手続きの流れは?必要な申請書類は?(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/newimmiact_3_procedure_index.html)
手続きにかかる時間とコスト
ビザは申請後、許可が下りるまで数日かかります。また、在留資格認定証明書の交付申請費用や在留資格変更・更新費用などで採用コストが数十万円ほどかかるため、外国人新卒者の採用計画は慎重に立てましょう。
日本人以上の新卒研修が必要
言語研修や文化適応研修の必要性
外国人新卒者向けのビジネスマナーや日本語研修などを通じて、職場文化への適応を促すことが効果的です。
研修プログラムの設計と実施
企業は、日本の職場特有のルールやコミュニケーション方法を教えるカリキュラムなどを作成し、外国人新卒者の定着率向上に繋げましょう。
採用コストの高さ
採用活動にかかる費用
外国人新卒者の採用には求人広告のほか、面接時の通訳、ビザ取得にかかる費用などがあり、日本人の採用より高額になることがほとんど。そのため費用対効果を十分に検討しましょう。
サポート体制の構築コスト
外国人新卒者の適応を支援するためには、サポート体制の整備も欠かせません。多文化共生の職場を目指すためのサポートスタッフの配置やメンター制度の導入、必要な研修などが発生し、初期投資がかかります。
離職率の上昇リスク
異文化適応の難しさ
異文化適応がうまくいかない外国人新卒者の場合、職場の文化や慣習に馴染むのに時間がかかります。適応が難航すると離職率が上昇するリスクも伴います。企業は異文化に対する理解を深め、積極的にサポートし、離職率上昇のリスクを軽減することが重要です。
離職防止策の重要性
離職を防ぐためには、職場での適応を支える仕組みを整えることが必要です。外国人新卒者にとっての相談窓口やメンター制度を導入し、困ったときにサポートが得られる体制を整えると、離職率の低減が期待できます。また、定期的な面談やキャリア支援を行い、企業への満足度を高めることも効果的です。
外国人新卒採用のための6つのステップ
外国人新卒者を採用するには、目的の明確化からビザ手続きまで、多段階のプロセスが必要です。ここでは、採用を成功させるための6つのステップをご紹介します。
ステップ1. 雇用の目的と前提を明確にする
採用目的の設定
「グローバルな視点の導入」や「多様な市場対応力の向上」など、企業が期待する役割や成果を設定することが重要です。
必要なスキルと人材像の定義
採用したい外国人新卒者に求めるスキルや人材像を具体的に定義します。日本語能力、専門知識、異文化適応力など、企業に必要な条件を明確にすることで、選考過程がスムーズに進みます。
ステップ2. 外国人新卒者の募集をかける
効果的な求人広告の作成方法
外国人新卒者向けの求人広告を作成する際には、仕事内容やビザサポートの有無、職場環境などの情報を詳しく掲載します。また、母国語での説明や、日本での生活に関する情報も付加すると効果的です。
自社サイトでの募集方法
自社の採用ページで多言語対応の募集ページを設け、外国人新卒者が応募しやすい環境を整えましょう。具体的な仕事内容や企業文化を紹介し、外国人新卒者に自社の魅力が伝わるよう工夫します。
ステップ3. 雇用が可能な外国人か確認する
在留資格の確認方法
外国人新卒者が日本で合法的に就労できるか確認するため、在留資格の確認が必要です。在留カードや過去のビザの種類を確認し、就労可能な資格があるかをチェックしましょう。
就労可能な資格の種類と要件
「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など、就労ビザにはさまざまな種類があります。それぞれのビザには要件が異なるため、業務内容と適合するビザの確認が不可欠です。
ステップ4. 選考を行う
面接で確認すべきポイント
外国人新卒者の選考では、日本語能力、コミュニケーションスキル、文化適応力などを確認します。特に、ビジネスレベルの日本語が求められる場合には、面接時に実践的なスキルを見極めると良いでしょう。
選考プロセスの設計
外国人新卒者には、日本人以上に分かりやすい選考プロセスが求められます。説明会や面接スケジュールの調整、面接時の通訳手配などを検討し、スムーズな選考プロセスを設計しましょう。
ステップ5. 採用の場合、雇用契約を結ぶ
労働契約書の作成ポイント
外国人新卒者が安心して働けるよう、労働契約書を正確に作成します。雇用期間、給与条件、勤務時間、業務内容などを詳細に記載し、必要に応じて母国語でのサポートも提供します。
労働条件通知書の重要性
労働条件通知書には、契約内容や福利厚生、就労規則などが記載されています。労働基準法に基づく重要な書類であり、外国人新卒者が理解しやすいように丁寧に説明しましょう。
ステップ6. 在留資格申請・変更を行う
ビザ申請手続きの具体的な流れ
在留資格の申請・変更手続きは、企業が代理で行うか、専門家にサポートを依頼します。書類の準備、入管への提出など、申請手続きを確実に進めることが重要です。企業が代行する場合は、法令の変更など最新の手続き情報を確認し、迅速に対応しましょう。
必要書類と提出先
ビザ申請には、雇用契約書、履歴書、学歴証明書などが必要です。必要書類や提出先は法務省や入国管理局で確認し、不備がないように整えます。
ステップ7. 入社までの準備と入社手続き
住居の手配とビザ申請支援
入社前に、外国人新卒者が住むための住居を手配し、必要に応じてビザ申請のサポートも行います。住居探しに関する情報を提供し、日本での生活をスムーズにスタートできるよう支援します。
社会保険や税務手続きの対応
入社手続きとして、社会保険の加入や税務関連の登録を行います。健康保険や年金の手続きを早期に済ませることで、外国人新卒者が安心して働ける環境を整えましょう。
外国人を雇うための必要な手続き
外国人新卒者を雇用する場合、在留資格の確認や雇用契約の締結、社会保険加入など、一般的な採用プロセスに加えて特別な手続きが必要です。
在留資格の確認と取得方法
就労可能な在留資格の種類と要件
外国人新卒者が日本で就労できる在留資格には、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などがあり、それぞれの資格に基づいた職種や業務内容に沿わなければいけません。適切な在留資格があるかを確認することは、採用に際しての法的リスクを避けるためにも重要です。
資格外活動許可の取得手順
一部の在留資格では、通常の就労とは異なる活動を行うために資格外活動許可が必要です。資格外活動許可を取得する際の手続きや必要書類は、事前に把握しておきましょう。
不法就労防止のための在留カード確認
企業には、採用時に在留カードの有効期限や資格内容を確認し、雇用契約が法的に適切であることを確認する義務があります。また、在留カードの有効期限が切れる前に更新手続きを促す体制も重要です。
労働契約の締結と必要書類
外国人新卒者を雇用する際は、労働契約の締結や法的な書類の準備を適切に行います。契約内容を明確にし、外国人新卒者が安心して就業できる環境を整えましょう。
労働契約書の作成ポイント
労働契約書は、企業と外国人新卒者の間で雇用条件を明確にする重要な書類です。契約書には、以下のようなポイントを盛り込みます。
- 雇用期間:期間の定めがあるかどうか、契約更新の可能性について明記します。
- 賃金の条件:基本給、昇給制度、賞与の有無などを明確に記載します。
- 労働時間:所定労働時間、残業の有無やその際の賃金支払い方法も明記しましょう。
- 休暇:年次有給休暇やその他の休暇制度についても記載が必要です。
労働契約書を作成する際は、外国人新卒者が内容を正確に理解できるよう、必要に応じて母国語や多言語でのサポートも提供しましょう。
労働条件通知書の重要性
労働条件通知書は、契約締結時に企業側から従業員へ必ず渡す書類で、雇用条件が明記されています。通知書には、給与や勤務時間、休日・休暇、福利厚生に関する情報を含め、外国人が不安を感じやすい項目について明確に記載します。
労働条件通知書は日本の労働基準法に基づく必須書類であり、未交付によって企業が法令違反とみなされる可能性があるためご注意ください(※)。
(※)参照元:厚生労働省 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin13/sisin01.html)
社会保険や税務手続きの対応
外国人新卒者が入社した際には、社会保険への加入や税務手続きを適切に行い、日本の制度に則ったサポートを提供しましょう。
社会保険加入手続き
日本で就労する外国人新卒者も、日本人と同様に社会保険制度への加入が義務付けられています。社会保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などが含まれ、加入手続きは企業が代行して行います。加入手続きに必要な書類としては、住民票や在留カードなどがありますので、いつまでに用意してほしいか外国人新卒者へしっかり伝えましょう。
税務関連の注意点
外国人新卒者も日本国内で収入を得る場合は、所得税や住民税などの支払い義務があります。年末調整や税金の仕組みについても説明し、日本の税制度を理解してもらいましょう。
特に母国での課税との二重課税を防ぐために、外国人新卒者が自国と日本の「租税条約」に基づいた手続きを取れるよう、税務関連のサポートも提供するとなお良いです。
外国人新卒者の募集方法
求人サイトや自社サイトの活用
外国人新卒者の採用を成功させるためには、適切な求人サイトの活用や自社サイトでの効果的な募集が欠かせません。外国人求職者に向けて、分かりやすく魅力的な情報を提供することが重要です。
効果的な求人広告の作り方
求人広告は、外国人求職者にとって企業の第一印象を決める重要なポイントです。以下の点に注意して、応募意欲を高める内容を作成しましょう。
- 職務内容の具体的な説明:具体的な業務内容、求めるスキル、役割などを明記します。また、外国人採用に関するサポートや研修制度の有無も記載すると安心感を与えられます。
- 勤務条件の明確化:勤務地、給与、勤務時間、休日、福利厚生などを分かりやすく記載します。特に、外国人求職者が関心を持つビザサポートの有無やキャリアパスについての説明も加えると効果的です。
- 応募方法の案内:応募手順や必要書類を詳細に記載し、応募しやすい環境を整えます。多言語対応のフォームを設置することで、外国人求職者の利便性が向上します。
- 企業文化やビジョンの紹介:外国人求職者にとっては企業文化の理解が大切です。企業のビジョンや価値観、多文化共生に対する姿勢を具体的に伝えることで、企業の魅力が伝わりやすくなります。
自社サイトでの募集方法
自社サイトでの募集は、企業の魅力や価値観を直接発信できる効果的な方法です。ポイントを押さえて作成しましょう。
- 専用の採用ページを設置:外国人向けの専用ページを作成し、企業のサポート体制や働く環境を詳しく説明します。すでに採用した外国人新卒者の実際の声やインタビュー、具体的なサポート内容もあると、より信頼感を高めることができます。
- SNSやブログの活用:自社サイトに加えて、SNSやブログを活用し、企業文化や日々の取り組みを発信することも効果的です。定期的な情報発信により、外国人求職者に企業の魅力をリアルタイムで伝えられます。
- 問い合わせ窓口の設置:外国人新卒者が疑問点を直接質問できる問い合わせ窓口を設置し、サポート体制を強化します。多言語対応のスタッフを配置するか、問い合わせフォームを多言語化することで、応募者にとって安心できる環境を提供しましょう。
人材紹介会社の利用と選び方
外国人新卒者を効率的に採用するには、人材紹介会社の活用も効果的です。人材紹介会社を選ぶ際は、外国人採用の実績が豊富か、ビザ申請のサポートや文化適応支援を提供できるか、各国の教育事情や労働市場に精通しているかなどを確認しましょう。
大学や専門学校との連携
大学や専門学校と連携することで、外国人新卒者を効率的に採用できるメリットがあります。学校側と連携することで、質の高い人材にアプローチできる機会を増やしたり、インターンシップを通じて学生との相性を事前に確認したりすることも可能です。
公的機関やコミュニティの活用
国や地方自治体などの公的機関は、ビザ取得や居住支援など、外国人採用に対して様々な支援制度を提供しています。また、外国人コミュニティと連携することで、スムーズな定着支援やネットワーク構築を図れる点も重要です。
面接で確認すべきポイント
外国人新卒者の採用面接では、企業文化への適合性や日本語能力、多様性の理解といった点を重点的に見極めましょう。
社風適合性の確認
企業文化への適応能力
外国人新卒者が企業で長く活躍するためには、企業文化への適応が重要です。企業文化とは、価値観や行動指針など、職場の一体感や雰囲気を生む基盤です。面接では、求職者が企業の文化やルールにどれだけ柔軟に順応できるかを確認する質問を行いましょう。会社のミッションやビジョンなどに共感しているかを聞くことで、価値観の一致度を図れます。
チームとの相性
チームとの協力が欠かせない業務では、同僚との相性も重要です。面接の際には、どのように他者と協力して仕事を進めるのかを具体的に聞くことで、チームプレイヤーとしての適性を評価できます。
国籍に関する考慮点
多様性の理解と受け入れ態勢
企業が異文化に対する理解を深めることで、外国人新卒者のパフォーマンスを最大限に引き出せます。面接では、多様なバックグラウンドに対する適応力や柔軟な考え方を持っているかを確認する質問が効果的です。
国籍に基づく差別禁止
日本では、採用面接で国籍を理由に不当な差別を行うことを禁じています(※)。雇用条件や給与などで、理由なく日本人社員と差をつけるようなことはできません。
(※)参照元[PDF]:厚生労働省 外国人雇用はルールを守って適正に(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001d8hv-att/2r9852000001dips.pdf)
日本語能力の評価
ビジネス日本語のスキルチェック
業務で日本語を使う場合、外国人新卒者の日本語能力の確認が欠かせません。一般的な会話だけでなく、メールや電話対応などのビジネスシーンを想定した日本語スキルを評価する必要があります。
日本語能力試験(JLPT)N2以上の資格を持つ場合、ビジネス会話が可能なレベルとされていますが、面接で具体的な業務内容を説明させることで、実践的な日本語力を見極めましょう。
コミュニケーション能力の確認
日本語スキルだけでなく、意図を明確に伝える力や、相手の意図を理解するリスニング力も重要です。面接では日本語の正確な運用能力だけでなく、双方向で円滑にコミュニケーションをとれるかを確認するための会話を心がけると良いでしょう。
外国人新卒者の受け入れ準備
外国人新卒者の受け入れには、事前の準備や入社後のサポートが欠かせません。特にビザの手続きや生活環境の整備、法定健診などの健康管理も重要です。
入国前の準備
住居の手配とビザ申請支援
外国人新卒者がスムーズに生活を開始できるよう、住居の手配やビザ申請のサポートが必要です。企業が住居の手配をすることで、外国人新卒者が新しい生活を始める負担が軽減されます。ビザ申請は、必要書類の確認や申請の流れを企業が事前に把握しておくと、トラブルを未然に防げます。
印鑑や必要書類の準備
日本では契約書類などで印鑑が必要となることが多いため、外国人新卒者にも事前に準備を促しましょう。在留カードや健康保険証の発行など、日本での生活で必要となる書類に必要な手続きについても、事前に案内するとスムーズです。
入国後のサポート
住民登録と銀行口座開設
入国後には、住民票の登録と銀行口座の開設が必要です。住民登録は入国後14日以内に行わなければならず、銀行口座も給与振込のために早急に手配しなければいけません。企業がサポートすることで、外国人新卒者の生活基盤が安定し、業務にも集中できる環境が整います。
インターネット環境やライフラインの整備
外国人新卒者が生活を開始する上で、インターネット環境や電気・ガス・水道などのライフラインの整備も重要です。企業がこれらの手続きをサポートすることで、早期の職場定着が期待できます。
法定健診や健康保険の加入
法定健診は労働安全衛生法で定められており、入社時には受診が義務付けられています。健康保険の加入手続きも迅速に行い、外国人新卒者が安心して働ける環境を整えましょう。
特定技能外国人への支援
登録支援機関の利用方法
「特定技能」資格で外国人を雇用する場合、登録支援機関によるサポートが推奨されます。登録支援機関は、日本での生活や業務に必要なサポートを提供する専門機関であり、企業が負担する支援業務を効率的に代行します。
支援内容とその重要性
支援内容には、日常生活のサポートや定期的な相談対応などが含まれます。これらの支援を通じて、特定技能外国人が安定した職場環境で働くことができるため、早期離職の防止にも繋がります。
外国人新卒採用成功の秘訣
外国人新卒者を採用し、成功に導くためには、多文化共生の職場づくりや、継続的なサポート体制が重要です。
多文化共生の職場作り
異文化理解を促進する取り組み
社内で異文化に対する理解を深めることで、外国人新卒者が働きやすい職場が形成されます。異文化理解を促進する研修や、外国人社員の文化を尊重するためのイベントを企画することで、職場内の相互理解が進みます。
インクルーシブな職場文化の構築
インクルーシブな文化とは、多様な背景を持つ全ての従業員が対等に働ける環境です。具体的には、意見を自由に言い合える環境や、多様な視点を受け入れる風土の育成が重要です。
同僚・上司の理解とサポート体制
教育とトレーニングの実施
日本のビジネスマナーや業務の進め方に関する教育は、外国人新卒者が早く職場に慣れるために役立ちます。職場の上司や同僚には、外国人新卒者とのコミュニケーションの取り方やサポート方法についてトレーニングすることが効果的です。
メンター制度の導入
メンター制度は、外国人新卒者が安心して相談できる環境を整えるために有効です。業務や生活面での疑問に対して気軽に相談できる先輩社員がいることで、新卒者が職場に定着しやすくなります。
継続的なコミュニケーションとトレーニング
定期的なフィードバック
外国人新卒者が成長を実感できるよう、定期的にフィードバックを行いましょう。業務に関する評価だけでなく、コミュニケーション面でも具体的なアドバイスを提示することで、スムーズな適応を促せます。
スキルアップの機会提供
外国人新卒者にもキャリアアップの機会を提供することで、長期的な就労意欲が高まります。スキル研修やセミナー参加の機会を積極的に提供し、成長をサポートする体制を整えましょう。
モチベーション維持とキャリアパスの提供
成長機会の明確化
外国人新卒者が長期的に企業で活躍できるよう、キャリアパスを具体的に示すことが重要です。成長の機会が明確であれば、目標を持って業務に取り組む意欲も高まります。
キャリアパスの設計
具体的なキャリアパスを示し、将来的な昇進や昇格の可能性についても伝えると、外国人新卒者のモチベーション維持に効果があります。
外国人新卒採用における注意点
労働条件の明確化と法令遵守
労働条件の透明性確保
外国人新卒者に対しても、労働条件を分かりやすく説明することが大切です。労働契約の内容を明確にし、就業規則や福利厚生の詳細についても十分に伝えましょう。
法令違反を避けるためのチェックリスト
外国人労働者に関する法令を遵守するために、雇用前に法的な要件を確認するチェックリストを作成しておくと便利です。
同一労働同一賃金の順守
公平な給与体系の構築
日本の「同一労働同一賃金」制度に従い、公平な給与体系を構築することが求められます。外国人と日本人の新卒者間で給与の不平等がないように、業務内容や評価基準を明確にしましょう。
差別の防止策
賃金や昇進の際に差別が起きないよう、定期的な監査や人事評価制度の見直しを行うことで、公平性を保てます。
不法就労防止とリスク管理
リスク評価と対応策
不法就労のリスクを最小限にするためには、在留資格の確認と、在留カードの有効期限管理が重要です。外国人労働者の法的リスクについて社内で認識を共有し、定期的に状況をチェックする体制を整えましょう。
法的リスクの最小化
在留資格の確認が漏れないようにし、法的リスクを防ぐために就労資格に関する教育を社内で行うと効果的です。
トラブル防止のためのコミュニケーション戦略
早期問題発見と対応
外国人新卒者が抱える問題を早期に発見し、迅速に対応することが定着率の向上につながります。定期的な面談やアンケートを実施し、従業員の声に耳を傾ける姿勢が重要です。
効果的な問題解決方法
問題が発生した際には、迅速かつ丁寧に対応し、再発防止のための対策も講じましょう。コミュニケーションを円滑に保ち、相互理解を深めることで、職場でのトラブルを減らすことができます。
外国人新卒採用の成功事例とポイント
成功企業の取り組み例
楽天グループの例
2024年11月時点、楽天では100を超える多様な国籍の社員が活躍しています(※1)。従業員全体に占める国籍比率の22.1%が外国人(※1)という楽天は、国籍に関係なく多くの社員が活躍できるよう、報酬・表彰制度の見直しや柔軟な働き方の採用など、社内環境づくりに取り組んできました。
その結果、楽天グループ全体での2023年の離職率は2017年より2.4ポイント減少しました(※2)。
(※1)参照元:楽天グループ(https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/diversity/)
(※2)参照元:楽天グループ(https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/employees/)
成功要因の分析
楽天が多国籍な従業員が集まる企業として成功した要因の一つに、「多様な文化を認め合い、受け入れる」社内風土の確立が挙げられます。たとえば「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」や「異なるライフスタイルを持つ同僚との協働」など、お互いを認め合うための研修が行われています。
他にも、社内公用語を英語にして世界中から優秀な人材を受け入れる体制づくりを整備したことも要因といえるでしょう。
参照元:楽天グループ(https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/diversity/)
定着率を高めるための工夫
モチベーション維持の方法
外国人新卒者が長期的に活躍するためには、モチベーションを維持するための取り組みが重要です。定期的な評価やキャリアプランの提示を行うことで、就労意欲を高められます。
キャリアパスの提供
具体的なキャリアパスを示すことで、外国人新卒者が将来のビジョンを持って働ける環境を整えましょう。
効果的なサポート体制の構築方法
サポートチームの設置
外国人新卒者の適応を支えるためのサポートチームを設置し、日常的なサポートを提供します。専任のスタッフや相談窓口を設けることで、相談しやすい環境が整います。
継続的な支援の提供
入社後も継続的な支援を行い、外国人新卒者が職場に馴染みやすくなるようにサポートを続けることが定着に繋がります。
外国人新卒者の採用を成功させるポイント
外国人新卒者の採用を成功させるためには、入社前から入社後にわたる包括的なサポートが不可欠です。文化理解やサポート体制、キャリアパスの提供などを通じて、外国人新卒者が職場に定着し、長期的に活躍できる環境を整えましょう。