2026年春に卒業予定の学生も内定率が高く、引き続き「売り手市場」が続いているとされています。最近では複数の内定を保留にしたまま、少しでも条件のいい職場を選ぼうと就活を続ける学生が増え、企業側が内定を出しても入社に至らないケースも多くなってきています。
そんな厳しい採用活動において、外国人材の採用がにわかに注目を集めています。中小企業にとって外国人の新卒を獲得することは、新卒社員獲得のチャンスであると同時に、チャレンジングな採用活動であることも事実です。
そこでここでは、日本に留学している外国人の新卒採用を成功させるポイントや、留意すべき注意点などについて解説していきます。
外国人新卒採用の動向と現状
日本人の新卒でも指導や研修などでなにかと時間や労力がかかるのに、外国人の新卒を採用するなんて、とんでもない苦労がありそう…。
そんな採用担当者の声が聞こえてきそうですが、外国人留学生の日本における就職の現状はどのようになっているのか、最初に確認しておきたいと思います。
外国人新卒の半数以上が日本企業に就職
留学および特定活動(継続就職活動中の者・就職内定者など)の在留資格を持つ外国人が、日本での就職を目的に在留資格変更を許可される数は右肩上がりに増えています。
一方文部科学省の調査によれば、外国人留学生のうち日本の高等教育機関を卒業・修了した外国人留学生43,968人のうち、国内企業に就職した人数は22,688人と51.6%に上っています(※1)。
日本政府も外国人留学生の支援に積極的に取り組んでおり、2033年までに外国人留学生の国内就職率を60%まで引き上げることを目指すとしています。
外国人留学生の90%超が国内就職を希望、しかし実際は…
人材情報を提供している株式会社キャリタスが2025年卒の外国人留学生の就活に関する状況を調査したところ、「日本にある日系以外の企業(外資系企業)」(46.7%)、「日本にある日系企業」(44.7%)と、合わせて91.4%もの外国人留学生が日本での就職を希望していることがわかりました(※2)。
調査のタイミングや公表されている資料に違いはありますが、実際に就職した外国人留学生のパーセンテージと、国内企業に就職を希望している外国人留学生のパーセンテージに約40%の差が生じています。日本企業に就職したくても、なんらかの理由で就職を断念せざるを得ない外国人留学生が大勢いる可能性があるということです。
この数字から推察できることは、採用にコストや時間をかけられずノウハウもない中小企業は、なかなか外国人新卒の採用に踏み切れずにいるのではないか、という採用活動での現状です。
(※1)参照元[PDF]:文部科学省高等教育局「外国人留学生の就職促進について(令和7年6月)」(https://www.jasso.go.jp/gakusei/career/event/guidance/__icsFiles/afieldfile/2025/06/11/1monka_ryugaku.pdf)
(※2)参照元[PDF]:株式会社キャリタス「2025年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査(2024年8月発行)」(https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/08/gaikokujinryugakusei_202408.pd)
外国人を雇用している事業所は「30人未満」の規模が最も多い
外国人留学生を含む外国人を雇用する事業所の数もここ数年右肩上がりに増えています。厚生労働省が公表しているデータによれば、事業所の規模では「30人未満」が最も多く、全事業所の62.4%を占めています。
外国人労働者数が多い業界は「製造業」で、事業所数が多いのは「卸売業・小売業」となっています。
(※)参照元[PDF]:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和6年10月末時点)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001389434.pdf)
外国人の雇用状況には地域差がある
労働力が不足している点は全国で共通していますが、こと外国人労働者の雇用に関しては、はっきりと地域差が出てしまっています。
TOP3は「東京」「愛知」「大阪」で、東京が外国人労働者全体(2,302,587人)の25.4%(585,791人)を占めています。外国人を雇用する事業所も同じ3都府県が多く、なかでも圧倒的に多いのが東京です(※)。
外国人新卒の採用数も上記3都府県が多いと推察できますが、地方都市ではまだまだ外国人新卒を含む外国人の雇用に、消極的な傾向があることは事実です。
(※)参照元[PDF]:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和6年10月末時点)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001389434.pdf)
それでは次に、外国人の新卒を採用するメリットについて見ていきましょう。
外国人の新卒を採用するメリット
外国人新卒を採用する企業側のメリット
- 社内にグローバルな視点が醸成される
外国人新卒者や外国人材の採用により、企業内に多様な価値観や異文化といった外的刺激を受けることになり、社員が新たな視点で課題に取り組むきっかけになります。社員全体がグローバルに対応できる力を高め、国内外の多様な顧客に対応するための土壌が整います。 - 多様性の推進とイノベーションの促進
多様な背景を持つ人材が集まることで、新しいアイデアや革新的な発想が生まれる可能性が高まります。日本とは違う文化や環境で育った社員の意見を聞くことで、イノベーションの促進が期待できます。 - 海外市場における競争力が向上する
外国人新卒者が母国で培った知識やネットワークを活用することで、企業が海外市場に参入する際の機動力と競争力が高まります。今後拠点拡大を狙う国や地域に強いパイプを持つ外国人材の採用によって、現地の文化や商習慣に即した戦略が展開できる可能性を高めます。 - 社内競争力および採用競争力の強化
外国人新卒者の中には非常に優秀な人材もいるため、社内の競争力が向上するというメリットもあります。外国人採用により多様な人材確保が実現し、企業の採用競争力も向上していくことが期待できます。 - 外国人新卒への指導が社員の成長を促すきっかけになる
外国人新卒者を指導したり相談に乗ったりしている社員やチームには、「仲間をサポートすることが当たり前」の空気が生まれていきます。日本人同士では意識できていなかった支えあうことの重要性を感じることで、社員が成長していくきっかけとなる可能性を秘めています。
外国人新卒者側のメリット
- 健康保険などの充実した制度利用
日本の社会保険制度は外国人労働者も適用されます。いざというときのサポート体制が整っている日本であれば、外国人労働者も安心して就業を継続することができ、安定した生活基盤が築けます。 - ハイレベルのサービススキル習得
日本は「おもてなし」文化が根付いているため、サービス業において質の高い接客が求められます。日本企業で働くことで、ハイレベルのサービススキルやプロフェッショナルな対応方法を学ぶことができます。外国人新卒者にとってこうしたスキルが磨けることは、将来の財産になるはずです。 - 安定した雇用とキャリア形成の期待
日本企業での経験は母国でのキャリアにもプラスに働く可能性があり、特に大企業での職務経験は次の職場でも活かせる強みとなります。 - 日本語の語学力が向上すれば転職にも有利になる
日本語で仕事することは簡単ではありませんが、日本語の研修を企業が支援してくれるため、自分だけで勉強するよりも早く日本語が身に付きます。転職をする場合にも、日本語のスキルがあれば有利です。
外国人新卒者雇用のデメリットとリスク
外国人新卒者を採用する際にデメリットと感じやすいのは、就労ビザの手続き、生活習慣を含む文化適応のための研修など、日本人の新卒採用にはないコストや時間がかかる点です。
これらの課題やリスクをあらかじめ予見し、適切な対応策を講じていくことが重要です。
就労ビザ取得等入社までの手続きが複雑
ビザの申請などを専門会社に委託する必要も
初めて外国人新卒を採用する場合などは、ビザの申請や変更届などの手続きを代行する専門会社もあるので、活用してみるのもひとつの手段です。複雑な手続きを社内で行うのは手間がかかり社員の負担になってしまうからです。
ただし外部の専門会社や行政書士に委託する場合は、手続きに費用がかかってしまうのもデメリットのひとつです。
出入国在留管理局の窓口での申請時、これから入国予定の方とすでに入国済みや一定の条件に当てはまる在留外国人の方では申請書類が異なるなど、わかりにくいところがあるので注意が必要です(※1)。
外国人留学生側が用意しなければいけない書類と会社側が用意しなければならない書類があるため、早めに準備を進めることが肝心です(※2)。
(※1)参照元:出入国在留管理庁 手続きの流れは?必要な申請書類は?(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/newimmiact_3_procedure_index.html)
(※2)参照元:JAPAN STUDY SUPPORT公式サイト「外国人留学生のための就職活動案内」(https://www.jpss.jp/ja/life/job/3/)
入社手続きにかかる時間とコストが負担になる
就労ビザは申請後、許可が下りるまで一定期間がかかります。外国人留学生の「在留資格変更許可申請書」は例年1月から3月に集中するため、前倒しで12月から1月下旬までに申請することが推奨されています(※)。
在留資格認定証明書の交付申請費用や在留資格変更・更新などを外部コンサルや行政書士に依頼すると、50,000~150,000円程度のコストがかかるため、外国人新卒者の採用計画を立てる際、このような事務手続きにかかる費用も計上しておくようにしましょう。
(※)参照元:出入国在留管理庁 在留資格「留学」から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ(https://www.moj.go.jp/isa/10_00240.html)
外国人留学生特有の新卒研修実施と業務に負担がかかる
言語研修や文化適応研修が必須
日本の新卒向けの研修とは別に、外国人新卒者向けにビジネスマナーの研修や日本語の研修、ビジネス上理解しておくべき日本の慣習に関する勉強会などの実施が必要になります。
外国人新卒が配属される部署のチームリーダーやメンターには、研修の準備や面談などの業務が発生し、物理的・精神的負荷がかかります。
企業は、日本の職場特有のルールやコミュニケーション方法を教えるカリキュラムなどを作成し、外国人新卒者の定着率向上に繋げていくと同時に、外国人新卒の担当者や担当部署にかかる負担へのサポートも不可欠です。
外国人新卒を採用する際のコストが日本人新卒より高い傾向
外国人の新卒採用コストが高くなりがち
外国人新卒者の採用には求人広告のほか、面接時の通訳、ビザ取得にかかる手続き費用などがあり、日本人新卒の採用よりコストが高くなりがちです。初めて外国人を雇う場合は、行政が支援してくれる無料サービスなど外部のリソースも活用しながら、なるべく高額にならないような工夫も検討してみましょう。
外国人新卒のサポート体制構築にもコストがかかる
外国人新卒者の適応を支援するためには、サポート体制の整備も欠かせません。多文化共生の職場を目指すためのサポートスタッフの配置やメンター制度の導入、必要な研修などが発生し、初期投資に一定のコストがかかります。
外国人新卒が早期に離職してしまうリスクも
外国人が異文化に適応する難しさ
異文化適応がうまくいかない外国人新卒者の場合、職場の文化や慣習に馴染むのに時間がかかることが多いです。どんなに細やかな対応をしても、適応力には個人差があります。外国人材を雇用する企業は異文化に対する理解を深め、宗教上の事情なども含め積極的なサポートが不可欠です。
外国人新卒の離職防止策を講じる
外国人新卒の離職を防ぐためには、日本の職場に適応できるよう支援する仕組みを整えることが重要です。外国人新卒者にとっての相談窓口やメンター制度を導入し、困ったときにサポートが得られる体制を整えると、離職率の低減が期待できます。また、定期的な面談やキャリア支援を行い、企業への満足度を高めることも効果的です。
外国人の新卒採用を成功させる秘訣とは?
外国人新卒者を採用し、成功に導くためには、多文化共生の職場づくりや、継続的なサポート体制の構築がどれだけできるかが、成功のカギを握ります。
多文化共生の職場づくりを強く意識する
異文化理解を促進する取り組み
社内で異文化に対する理解を深めることで、外国人新卒者が働きやすい職場が形成されていきます。異文化理解を促進する研修や、外国人社員の文化を尊重するためのイベントを企画することにより、職場内の相互理解が進みます。
「生まれ育った環境や価値観が異なる」ことを理解しようという努力ができるようになると、外国人材だけでなく社内全体でお互いを理解し、サポートしていこうとする姿勢が生まれ、事業全体にプラスに働くようになります。
インクルーシブな職場文化の構築
インクルーシブな文化とは、多様な背景を持つ全ての従業員が対等に働ける環境のことを指します。
具体的には、意見を自由に言い合える環境や、多様な視点を受け入れる風土の育成を重要視し、偏った価値観や差別といったマイナス面を改善していくことを目指します。
同僚・上司の理解とサポート体制を構築
教育とトレーニングの実施
日本のビジネスマナーや業務の進め方に関する教育は、外国人新卒者が早く職場に慣れるために役立ちます。職場の上司や同僚には、外国人新卒者とのコミュニケーションの取り方やサポート方法に関するトレーニングも必要になってきます。
外国人新卒を教育するというアウトプットを通じて、チームリーダーや上司の立場となる社員も、成長するチャンスであるととらえることもできます。
メンター制度の導入
メンター制度を日本人社員でも導入している企業は多いと思いますが、外国人新卒者が安心して相談できる環境を整えるためにもメンター制度は有効です。
業務や生活面での疑問に対して気軽に相談できる先輩社員がいることで、外国人新卒者が職場に定着しやすくなります。
コミュニケーションとトレーニングを継続する
定期的なフィードバック
外国人新卒者が自ら成長を実感できるよう、定期的にフィードバックを行いましょう。業務に関する評価だけでなく、コミュニケーション面でも具体的にアドバイスするなどして、継続的なコミュニケーションを図ります。「この人は自分を理解してくれている」と外国人新卒に感じてもらえれば、職場への定着成功に一歩近づきます。
スキルアップの機会提供
外国人新卒者にもキャリアアップの機会を提供することで、長期的な就労意欲が高まります。スキル研修やセミナー参加の機会を積極的に提供し、成長をサポートする体制を整えましょう。
なにかで表彰するなど、目に見える形で評価してあげることも検討してみてください。
モチベーション維持とキャリアパスの提供
成長機会の明確化
外国人新卒者が長期的に企業で活躍できるよう、キャリアパスを具体的に示してあげることが重要です。成長の機会が明確であれば、目標を持って業務に取り組むことができ、向上心も高まります。
キャリアパスの設計
具体的なキャリアパスを示し、将来的な昇進や昇格の可能性についても伝えると、外国人新卒者のモチベーション維持に効果があります。
国籍や民族性に関する理解度を上げる
多様性の理解と受け入れ態勢を整える
企業が異文化に対する理解を深めることで、外国人新卒者が安心して業務に集中できるようになります。それと同時に面接では、多様なバックグラウンドに対する適応力や柔軟な考え方を持っているかを確認する質問を投げかけてみてください。
日本の慣習や常識に驚く外国人新卒者がいるかもしれませんが、日本で働くからには、日本のルールに従ってもらう必要も出てきます。企業側が外国人材の民族性や価値観を重んじるのと同時に、入社した外国人新卒者にも多様性を重んじて行動してもらわなければなりません。
国籍に基づく差別禁止
日本では、採用面接で国籍を理由に不当な差別を行うことを禁じています(※)。さらに雇用条件や給与などで、理由なく日本人社員と差をつけるようなことはできません。
労働基準法などの法令は外国人労働者にも等しく適用されますので、ルールを守って差別につながらないような取り組みを意識してください。
(※)参照元[PDF]:厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001d8hv-att/2r9852000001dips.pdf)
外国人の新卒採用を成功させた企業の事例
楽天グループでは100を超える多様な国籍の社員が活躍
2025年12月時点、楽天グループ株式会社では100を超える多様な国籍の社員が活躍しています(※1)。
従業員全体に占める国籍比率の23.6%が外国人(※)という楽天は、国籍やジェンダーに関係なく多くの社員が活躍できるよう、報酬・表彰制度の見直しや柔軟な働き方の採用など、社内環境づくりに取り組んできました。
(※)参照元:楽天グループ株式会社公式サイト「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン」(https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/diversity/)
楽天グループが成功した要因
楽天が多国籍な従業員が集まる企業として成功した要因の一つに、「多様な文化を認め合い、受け入れる」社内風土の確立が挙げられます。
たとえば「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」や「異なるライフスタイルを持つ同僚との協働」など、お互いを認め合うための研修が行われています。
他にも、社内公用語を英語にして世界中から優秀な人材を受け入れる体制づくりを整備したことも要因といえるでしょう。
言語やマインドセットの共有、お互いを尊重する文化の醸成などを経て、国内有数のグローバル企業へと成長を続けています。
※参照元:楽天グループ株式会社公式サイト「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン」(https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/diversity/)
外国人新卒採用のための7つのステップ
外国人新卒者を採用するには、雇用目的の明確化から就労ビザの手続きまで、多くのプロセスが必要です。ここでは7つのステップにまとめて説明していきます。
ステップ1. 雇用の目的と前提を明確にする
採用目的の設定
「グローバルな視点の導入」や「多様な市場対応力の向上」など、企業が外国人新卒者に期待する役割や成果を設定することが重要です。
必要なスキルと人材像の定義
採用したい外国人新卒者に求めるスキルや人材像を具体的に定義します。日本語能力、専門知識、異文化適応力など、企業に必要な条件を明確にすることで、選考過程がスムーズに進みます。
ステップ2. 外国人新卒者の募集をかける
外国人新卒者向けの求人広告を出す
外国人新卒者向けの求人広告を作成する際には、仕事内容やビザ取得サポートの有無、職場環境などの情報を詳しく掲載します。また、外国人新卒者の母国語による説明や、日本での生活に関する情報も付加すると効果的です。
自社サイトでの外国人新卒者を募集する
自社の採用ページで多言語対応の募集ページを設け、外国人新卒者が応募しやすい環境を整えましょう。具体的な仕事内容や企業文化を紹介し、外国人新卒者に自社の魅力が伝わるよう工夫します。
外国人新卒者の具体的な募集方法については、「外国人新卒者の募集方法についてくわしく解説」の項目で説明します。
ステップ3. 雇用が可能な外国人か確認する
在留資格の確認方法
外国人新卒者が日本で合法的に就労できるか確認するため、在留資格の確認が必要です。在留カードや過去のビザの種類を確認し、就労可能な資格があるかをチェックしましょう。
就労可能な資格の種類と要件
外国人新卒者が日本で就労できる在留資格には、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などがあり、それぞれの資格に基づいた職種や業務内容に沿わなければいけません。適切な在留資格があるかを確認することは、採用に際しての法的リスクを避けるためにも重要です。
資格外活動許可の取得手順
一部の在留資格では、通常の就労とは異なる活動を行うために資格外活動許可が必要です。資格外活動許可を取得する際の手続きや必要書類は、事前に把握しておきましょう。
在留カードによる就労資格の確認と管理
企業には、採用時に在留カードの有効期限や資格内容を確認し、雇用契約が法的に適切であることを確認する義務があります。また、在留カードの有効期限が切れる前に更新手続きを促す体制も重要です。
ステップ4. 外国人新卒者の選考
選考面接でチェックすべきポイント
外国人新卒者の選考では、日本語能力、コミュニケーションスキル、文化適応力などを確認します。特に、ビジネスレベルの日本語が求められる場合には、面接時に実践的なスキルを見極めます。筆記・口述など求めるスキルに合わせ、試験の実施も検討します。
選考プロセスの設計
外国人新卒者には、日本人以上にわかりやすい選考プロセスを開示しましょう。説明会や面接スケジュールの調整、面接時の通訳手配などを検討し、スムーズな選考プロセスを設計することが大事です。
ステップ5. 外国人新卒者と雇用契約を結ぶ
労働契約書作成の要件
労働契約書は、企業と外国人新卒者の間で雇用条件を明確にする重要な書類です。契約書には、以下のようなポイントを盛り込みます。
- 雇用期間:期間の定めがあるかどうか、契約更新の可能性について明記します。
- 賃金の条件:基本給、昇給制度、賞与の有無などを明確に記載します。
- 労働時間:所定労働時間、残業の有無やその際の賃金支払い方法も明記しましょう。
- 休暇:年次有給休暇やその他の休暇制度についても記載が必要です。
労働契約書を作成する際は、外国人新卒者が内容を正確に理解できるよう、必要に応じて母国語や多言語でのサポートも提供しましょう。
労働条件通知書の重要性
労働条件通知書には、契約内容や福利厚生、就労規則などが記載されています。労働基準法に基づく重要な書類であり、外国人新卒者が理解しやすいように丁寧に説明しましょう。
労働条件通知書は、契約締結時に企業側から従業員へ必ず渡す書類で、雇用条件が明記されています。通知書には、給与や勤務時間、休日・休暇、福利厚生に関する情報を含め、外国人が不安を感じやすい項目について明確に記載します。
労働条件通知書は日本の労働基準法に基づく必須書類であり、未交付によって企業が法令違反とみなされる可能性があるためご注意ください(※)。
(※)参照元:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin13/sisin01.html)
ステップ6. 在留資格申請・変更を行う
ビザ申請手続きの具体的な流れ
在留資格の申請・変更手続きは、企業が代理で行うか、専門家にサポートを依頼します。書類の準備、入管への提出など、申請手続きを確実に進めることが重要です。企業が代行する場合は、法令の変更など最新の手続き情報を確認し、迅速に対応しましょう。
必要書類と提出先
ビザ申請には本人のパスポートや在留カードのほか、雇用契約書、履歴書、卒業証明書、成績証明書などが必要です。必要書類や提出先は法務省や入国管理局で確認し、不備がないように整えます。
具体的な手続きの流れは以下のようになります。
- 地方出入国在留管理局の窓口で申請。その際本人名義のパスポート・在留カード・在留資格変更許可申請書・申請理由書など必要書類の提出が必須
- 出入国在留管理庁における審査
- 在留資格認定証明書交付
- 入国・在留
ステップ7. 入社までの準備と入社手続き
住居の手配とビザ申請支援
入社前に、外国人新卒者が住むための住居を手配し、必要に応じてビザ申請のサポートも行います。住居探しに関する情報を提供し、日本での生活をスムーズにスタートできるよう支援します。
在留資格認定証明書の申請、在留資格変更許可申請、就労資格証明書の申請など必要に応じて申請が必要となるため、不明な点があればハローワークなど自治体の窓口に問い合わせて確認してください。
社会保険や税務手続きの対応
日本で就労する外国人新卒者も、日本人と同様に社会保険制度への加入が義務付けられています。社会保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などが含まれ、加入手続きは企業が代行して行います。
加入手続きに必要な書類としては、住民票や在留カードなどがありますので、いつまでに用意してほしいか外国人新卒者へしっかり伝えましょう。
住民登録と銀行口座開設
入国後には、住民票の登録と銀行口座の開設が必要です。住民登録は入国後14日以内に行わなければならず、銀行口座も給与振込のために早急に手配しなければいけません。企業がサポートすることで、外国人新卒者の生活基盤が安定し、業務にも集中できる環境が整います。
インターネット環境やライフラインの整備
外国人新卒者が生活を開始する上で、インターネット環境や電気・ガス・水道などのライフラインの整備も重要です。企業がこれらの手続きをサポートすることで、早期の職場定着が期待できます。
税務関連の注意点
外国人新卒者も日本国内で収入を得る場合は、所得税や住民税などの支払い義務があります。年末調整や税金の仕組みについても説明し、日本の税制度を理解してもらいましょう。
特に母国で課税されてしまう二重課税を防ぐために、外国人新卒者が自国と日本の「租税条約」に基づいた手続きを取れるよう、税務関連の諸手続きについてもサポートしましょう。
外国人新卒者の募集方法についてくわしく解説
求人サイトや自社サイトの活用
外国人新卒者の採用を成功させるためには、自社の採用方針にマッチした適切な求人サイトの活用や、自社サイト内での外国人新卒者募集が一般的です。
外国人求職者に向けていかにわかりやすく正確な情報を提供するかが肝心です。
人材情報を提供している株式会社キャリタスが「2025年卒の外国人留学生の就活に関する状況」を調査したところによると、外国人留学生が企業に「もっと発信してほしい情報」でダントツに多かったのが、「外国人留学生の採用実績」でした(※)。
自社に外国人留学生や新卒の採用実績があるようでしたら、どのようなかたちでもいいので、その実績をアピールしてみてください。
(※)参照元[PDF]:株式会社キャリタス「2025年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査(2024年8月発行)」(https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/08/gaikokujinryugakusei_202408.pdf)
外国人新卒の応募意欲を高める求人広告の要素
求人広告は、外国人求職者にとって企業の第一印象を決める重要なポイントです。以下の点に注意して、応募意欲を高める内容を作成しましょう。
- 職務内容の具体的な説明:具体的な業務内容、求めるスキル、役割などを明記します。また、外国人採用に関するサポートの具体的な内容やどのような研修があるかなどについても記載します。
- 勤務条件の明確化:勤務地、給与、勤務時間、休日、福利厚生などをわかりやすく記載します。特に、外国人新卒者が不安を抱く就労ビザ取得に関するサポート、キャリアパスについての説明も加えると効果的です。
- 応募方法の案内:応募手順や必要書類を詳細に記載し、応募しやすい環境を整えます。多言語対応のフォームを設置することで、外国人求職者の利便性が向上します。エントリーフォームが使いにくいと、外国人新卒者に敬遠されてしまうので、注意が必要です。
- 企業文化やビジョンの紹介:外国人新卒者にとっては企業文化の理解が大切です。企業のビジョンや価値観、多文化共生に対する姿勢を具体的に伝えることで、企業の魅力が伝わりやすくなります。
自社サイトで外国人新卒者を募集する場合の留意点
自社サイトで外国人新卒者を募集する場合、安易に考えると失敗します。企業の魅力や価値観を直接発信できる効果的な方法ですが、以下のようなポイントに留意して採用ページを作成しましょう。
- 専用の採用ページを設置:外国人新卒者や外国人求職者向けの専用ページを作成し、企業のサポート体制や働く環境を詳しく説明します。すでに採用した外国人新卒者の実際の声やインタビュー、具体的なサポート内容などがあると、エントリーしてみようかなという気持ちになりやすいものです。
- SNSやブログの活用:自社サイトに加えて、SNSやブログを活用し、企業文化や日々の取り組みを発信することも効果的です。定期的な情報発信により、外国人新卒者や外国人求職者に企業の魅力をリアルタイムで伝えられます。
- 問い合わせ窓口の設置:外国人新卒者が疑問に感じたことを直接質問できる問い合わせ窓口やフォームを設置し、自社に興味を持ってくれた求職者を逃さないような体制を整えます。多言語対応のスタッフを配置するか、問い合わせフォームを多言語化することを検討してみましょう。
人材紹介会社に外国人新卒者を紹介してもらう
外国人新卒者を効率的に採用するには、人材紹介会社の活用も検討してみましょう。人材紹介会社を選ぶ際は、外国人採用(紹介)の実績が豊富であること、ビザ申請など諸手続きのサポート内容、どのような業界・業種に強い人材紹介会社かなどをしっかり確認してください。
できれば複数社から相見積もりを出してもらい、かかる費用も比較してから決定しましょう。
大学や専門学校との連携
大学や専門学校と連携することによって、外国人新卒者を効率的に採用できる可能性があります。学校側はひとりでも多くの外国人新卒者を就職させたいわけですので、採用したい企業との連携には大きなメリットがあります。
質の高い人材にアプローチできる機会を増やしたり、インターンシップを通じて学生との相性を事前に確認したりすることも可能なので、大学や専門学校の卒業生がどのような企業に就職しているか、実績なども確認してから連携を模索してみましょう。
公的機関やコミュニティの活用
国や地方自治体などの公的機関は、ビザ取得や居住支援など、外国人採用に対してさまざまな支援制度を提供しています。自治体によって支援内容や支援範囲が異なりますが、まずは外国人新卒者の採用につながる情報を収集して活用しましょう。
また、外国人コミュニティと連携することで、すでに日本の企業に就職している外国人労働者の声を参考にすることができますし、地元密着型の事業であれば、外国人材の採用に直結するケースもあります。
外国人新卒者の面接で確認すべきポイント
外国人新卒者の採用面接では、企業文化への適合性や日本語能力、多様性の理解といった点を重点的に見極めましょう。
社風適合性の確認
企業文化への適応能力
外国人新卒者が企業で長く活躍するためには、企業文化への適応が重要です。企業文化とは、価値観や行動指針など、職場の一体感や雰囲気を生む基盤です。
面接では、求職者が企業の文化やルールにどれだけ柔軟に順応できるかを確認する質問を行いましょう。会社のミッションやビジョンなどに共感できるかどうかを聞くことで、採用すべき外国人材を見極めます。
所属するチームでの連携や協調性を確認する
チームとの協力が欠かせない業務では、同僚との相性も重要です。面接の際には、どのように他者と協力して仕事を進めるのかを具体的に聞くことで、どの程度チーム内で連携して仕事をしていけるかといった適性を評価することができます。
日本語能力の評価
ビジネス日本語のスキルチェック
業務で日本語を使うことが前提の場合、外国人新卒者がどの程度の日本語能力を有しているか、確認しなければなりません。一般的な会話だけでなく、メールや電話対応などのビジネスシーンを想定した日本語スキルを評価する必要があります。
日本語能力試験(JLPT)N2以上の資格を持つ場合、ビジネス会話が可能なレベルとされていますが、面接で具体的な業務内容を説明させるなどして、実践的な日本語力を見極めましょう。
コミュニケーション能力の確認
日本語スキルだけでなく、意図を明確に伝える力や、相手の意図を理解するリスニング力も重要です。面接では日本語の正確な運用能力だけでなく、双方向で円滑にコミュニケーションをとれるかを確認するための会話を心がけると良いでしょう。
外国人新卒者の受け入れ準備
外国人新卒者を採用する予定の場合、事前の準備や入社後のサポート体制も整えておかねばなりません。特にビザの手続きや生活環境の整備、法定健診などの健康管理も重要です。
入国前の準備
住居の手配とビザ申請支援
外国人新卒者がスムーズに生活を開始できるよう、住居の手配やビザ申請のサポートが必要です。企業が住居の手配をすることで、外国人新卒者が新しい生活を始める負担が軽減されます。ビザ申請は、必要書類の確認や申請の流れを企業が事前に把握しておくと、トラブルを未然に防げます。
印鑑や必要書類の準備
日本では契約書類などで印鑑が必要となることが多いため、外国人新卒者にも事前に準備を促しましょう。在留カードや健康保険証の発行など、日本での生活で必要となる書類に必要な手続きについても、事前に案内するとスムーズです。
特定技能外国人への支援
登録支援機関の利用方法
「特定技能」資格で外国人を雇用する場合、登録支援機関によるサポートが推奨されます。登録支援機関は、日本での生活や業務に必要なサポートを提供する専門機関であり、企業が負担する支援業務を効率的に代行します。
登録支援機関の支援内容を確認
登録支援機関の支援内容には、日常生活のサポートや定期的な相談対応などが含まれます。これらの支援を通じて、特定技能外国人が安定した職場環境で働くことができるため、早期離職の防止にも繋がります。
外国人新卒採用における注意点
労働条件の明確化と法令遵守
労働条件の透明性確保
外国人新卒者に対しても、労働条件をわかりやすく説明することが大切です。労働契約の内容を明確にし、就業規則や福利厚生の詳細についても十分に伝え、理解をしてもらえるよう丁寧に対応しましょう。
法令違反を避けるためのチェックリスト
外国人労働者に関する法令を遵守するために、雇用前に法的な要件を確認するチェックリストを作成しておくと便利です。
同一労働同一賃金の遵守
公平な給与体系の構築
先ほども触れましたが、日本の「同一労働同一賃金」制度に従い、公平な給与体系を構築することが求められます。外国人と日本人の新卒者間で給与の不平等がないように、業務内容や評価基準を明確にしましょう。
国籍による差別などが生じないように管理する
繰り返しになりますが、賃金や昇進の際に差別が起きないよう、定期的な監査や人事評価制度の見直しを行うことで、公平性を保てます。社内に外国人雇用を束ねる責任者を置いて外部機関にアドバイスを求めるなどして、公平公正な雇用関係が継続するよう、管理していくようにしましょう。
不法就労防止とリスク管理
リスク評価と対応策
こちらも何度か説明していますが、不法就労のリスクを負わないためには、在留資格の確認と、在留カードの有効期限の管理が重要です。外国人労働者の法的リスクについて社内で認識を共有し、定期的に状況をチェックする体制を整えましょう。
法的リスクの最小化
在留資格の確認が漏れないようにし、法的リスクを防ぐために就労資格に関する教育を社内で行うと効果的です。もしくは人事担当者が外国人雇用労務士などの専門資格を取得したり、外部のセミナーなどで知識を得たりすることを会社が支援し、外国人材を活かせる社員を増やしていくことも重要です。
早期発見・早期対応がトラブル防止に
早期の問題発見と早期の対応
外国人新卒者が抱える問題を早期に発見し、迅速に対応することが会社への定着率向上につながります。定期的な面談やアンケートを実施し、問題があれば部署や事業部を横断して対応策について話し合ってください。
日本人の新卒を採用するのも、外国人の新卒を採用するのも、基本的には同じ労力、同じコストがかかるものです。その採用コストを無駄にせず成功に導くためには、専門家の力も借りながら本気で外国人材の定着を目指していきましょう。
問題が発生した際には、迅速かつ丁寧に対応し、再発防止のための対策も講じましょう。コミュニケーションを円滑に保ち、相互理解を深めることで、職場でのトラブルを減らすことができるはずです。
外国人新卒者の採用を会社全体の成長につなげる
外国人新卒者の採用を成功させるためには、入社前から入社後にわたる包括的なサポートが不可欠であることがご理解いただけたと思います。
お互いの文化的背景の相互理解や多様な価値観の共有、明確なキャリアパスの提供などを通じて、外国人新卒者が職場に定着し、長期的に活躍できる環境を整えていきましょう。
人事担当者や外国人新卒者を束ねる役職者には負荷がかかりますが、外国人新卒者が入社することによって、会社全体、担当部署や事業部全体が「成長の機会を得た」と考えて、地道に前進していくことをおすすめします。

