受入れ機関(特定技能所属機関)とは?
特定技能所属機関とは、特定技能外国人を雇用し、その業務を適正に管理する企業または個人事業主を指します。宿泊業を含む12の特定産業分野で、一定の知識と経験を持つ外国人を雇用することで、企業は特定技能所属機関として認定されます。
2019年に創設された特定技能制度では、特定の産業分野での人手不足を補うため、一定の要件を満たす外国人の雇用が可能になりました。特定技能所属機関には、適正な労働環境の提供、労働関係法令の遵守、外国人労働者への支援体制の整備が求められます。
特定技能所属機関として認定されるためには、次の要件を満たす必要があります
- 業種要件:対象となる特定産業分野に属していること。
- 雇用契約:外国人と適切な労働契約を結ぶこと。
- 機関の適正性:法令を遵守し、適切な運営ができる機関であること。
- 支援体制:外国人が安心して働けるよう支援体制を整備していること。
- 支援計画:外国人の生活・業務サポートのための計画が適切であること。
また、企業が自社で支援を行うことが難しい場合、登録支援機関に業務を委託することも可能です。
受入れ機関(特定技能所属機関)が
外国人を受け入れるための基準
特定技能所属機関が外国からの人材を受入れる際、基準をすべて遵守する必要があります。ここでは、特に重視される6つのポイントを確認していきましょう。
労働関係法令および社会保険関係法令の遵守
特定技能外国人を受け入れる企業は、適正な雇用環境を確保するために、労働基準法や最低賃金法を守ることが求められます。また、厚生年金や健康保険、雇用保険に加入し、税金の支払いも適切に行う必要があります。
これにより、外国人労働者が安心して働ける環境を整え、企業の信頼性を高めることができます。違反があった場合は、特定技能外国人の受け入れが制限される可能性があるため、常に法令を遵守することが重要です。
非自発的離職者の未発生
特定技能所属機関は、特定技能外国人の雇用にあたり、過去1年間に正当な理由なく従業員を解雇していないことが求められます。これは、外国人の雇用を理由に現在の従業員を不当に退職させることを防ぐための規定です。
例えば、会社の都合で解雇することや、契約更新を意図的に行わないケースは認められません。外国人と日本人労働者が共に安心して働ける環境を整えることが、企業にとって重要な責務となります。
行方不明者の未発生
企業は外国人労働者が安心して働ける環境を整え、行方不明にならないよう適切な管理を行うことが求められます。賃金未払いなど企業側の問題で失踪が発生した場合、その企業の受け入れ体制に問題があると判断されます。
過去1年間に行方不明者を出した企業は、新たな外国人の受け入れが難しくなるため、労働環境の改善や適切な支援を行い、外国人労働者が安心して働ける体制を整えることが重要です。
欠格事由に当てはまらないこと
特定技能外国人を受け入れる企業は、法令違反歴がないことが求められます。具体的には、過去5年以内に入管法や労働法令に違反していないこと、技能実習制度における認定取り消しを受けていないこと、暴力団関係者が関与していないことが条件となります。
また、企業の経営者や役員が法律違反を犯している場合も、受け入れは認められません。これは、外国人労働者が安心して働ける環境を整えるための重要な基準です。
保証金や違約金等の契約をしない
外国人労働者に保証金を支払わせたり、違約金を定めた契約を結ぶことは禁止されています。これは、労働者が不当な負担を強いられず、安心して働ける環境を確保するための重要なルールです。
企業や仲介業者は、外国人労働者やその家族に金銭を要求したり、退職時に違約金を求めることはできません。違反した場合、企業は特定技能外国人の受け入れができなくなる可能性があるため、適正な契約のもとで雇用することが求められます。
報酬の口座振り込み
給与の支払いは銀行振込で行うことが基本とされており、外国人労働者が指定した口座へ振り込む必要があります。現金手渡しは原則禁止されており、例外的に行う場合は、適切な証明書類を提出する必要があります。
これは、確実な支払いを保証し、労働者が適正な賃金を受け取れるようにするための措置です。企業は労働者に口座振込の重要性を説明し、同意を得た上で適切な支払い方法を選択することが求められます。
※参照元:【PDF】「特定技能外国人受入れに関する運用要領50p」https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf
特定技能外国人の受け入れに必要となる実績
特定技能外国人を受け入れるためには、一定の実績を有していることが求められます。具体的には、過去2年間に中長期在留者の雇用または管理の経験があること、企業内に支援責任者および支援担当者を配置していること、外国人労働者への適切なサポート体制を確立していることが必要です。
特定技能1号は基本的な業務を担当する外国人向けの資格で、宿泊業ではフロント業務や清掃、レストランサービスなどが含まれます。一方、特定技能2号はより高度な専門業務に従事する外国人向けの資格で、管理業務や専門的なサービス業務を担うことができます。
受入れ機関(特定技能所属機関)の義務
雇用契約の履行
特定技能外国人を雇用する企業は、契約内容を守ることが求められます。給与や労働時間などの条件を勝手に変更したり、契約を無視したりすることは禁止されています。
契約を守らない場合、入国管理局から指導を受けることがあり、場合によっては是正命令が下されることもあります。
特定技能外国人への支援
企業は、外国人労働者が日本で安心して働き、生活できるようにサポートする必要があります。具体的には、住む場所の確保、通訳の手配、日常生活の相談対応などが含まれます。企業が対応できない場合は、登録支援機関に依頼することも可能です。
各種届出の実施
特定技能外国人を受け入れる企業は、入国管理局や労働局へ必要な届出を行わなければなりません。報告を怠ると罰則の対象となるため、提出期限を守り、適切な手続きを行うことが重要です。
登録支援機関との違い
| 項目 | 特定技能所属機関 | 登録支援機関 |
|---|---|---|
| 特徴 | 特定技能外国人を雇用する企業 | 外国人の支援を専門に行う機関 |
| 事業者の種類 | 企業・個人事業主 | 民間法人・行政書士・社労士など |
| 支援内容 | 自社で支援計画を策定・実施 | 企業の代わりに支援を実施 |
特定技能所属機関は特定技能外国人を直接雇用し、業務を管理する立場にありますが、支援を自社で行うのが難しい場合は「登録支援機関」に委託できます。登録支援機関は外国人の生活や業務をサポートし、企業が適切に雇用を進めるためのサポート役を担います。
登録支援機関に委託可能な業務
登録支援機関が対応できる業務には、以下のような内容があります。
- 事前ガイダンスの実施:日本での生活や就業ルール、手続きの説明
- 出入国時の送迎支援:空港から住居や職場への移動サポート
- 住居の確保・生活支援:住居契約や生活必需品の手配
- 生活オリエンテーション:日本の法律や文化、ルールの案内
- 公的手続きの同行:市役所での登録や社会保険の加入手続きサポート
- 日本語学習の機会提供:オンライン教材やレッスンの提供
- 相談や苦情対応:母国語での相談窓口を設け、問題を解決
登録支援機関は、外国人が安心して働ける環境を整えるために必要な支援を提供しなければいけません。企業が適切な支援体制を確保できない場合は、登録支援機関の活用を検討することが重要です。
特定技能所属機関の認定条件と手続き
特定技能所属機関として認定を受けるには、労働環境の整備や支援体制の確立、法令の遵守が必要です。企業は外国人労働者を適切に管理し、安定した就労環境を提供しなければなりません。
認定には、出入国在留管理庁へ雇用契約書や支援計画書、企業の財務状況を示す書類などを提出し、審査を受ける必要があります。承認されると正式な受け入れ機関となり、外国人労働者を雇用できるようになります。
また、企業が自社で対応できる業務と、登録支援機関に委託すべき業務を整理することで、円滑な受け入れと適正な管理が可能になります。しっかりとした計画を立て、外国人が安心して働ける環境を作ることが重要です。
まとめ
特定技能所属機関として認定されるには、労働関係法令の遵守、支援体制の整備、適切な雇用契約の締結などが求められます。外国人労働者が安心して働ける環境を提供するため、法令に従い、必要な支援を行うことが重要です。また、支援業務は登録支援機関に委託することも可能です。
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