特定技能2号「宿泊」は、宿泊業界において熟練した技能を持つ外国人材に与えられる在留資格です。特定技能1号と異なり、在留期間に制限がなく、一定の条件を満たせば家族の帯同も認められます。そのため、長期的に安定した雇用を実現できるメリットがあります。
本記事では、特定技能2号「宿泊」の概要や試験情報、採用方法について詳しく解説します。宿泊業で外国人人材の受け入れを検討している採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
特定技能2号 宿泊とは?
特定技能2号「宿泊」は、宿泊業界で高度な専門知識と技能を持ち、複数の従業員を指導できる外国人材に与えられる在留資格です。この制度は、2023年8月に施行され、宿泊業界の深刻な人手不足を解消することを目的としています。
特定技能1号との違い
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 即戦力として必要な知識・経験 | 熟練した技能が必要、従業員への指導が可能 |
| 在留期間 | 最長5年まで | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 基本的に不可 | 要件を満たせば可能 |
| 永住許可申請 | 不可 | 要件を満たせば可能 |
| 日本語能力 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 | 試験での確認は原則不要 |
| 支援体制 | 企業による支援が必要 | 支援は不要 |
特定技能2号は、宿泊業で高度な専門スキルを持ち、業務全体を把握しながら従業員の指導ができる外国人材に適用されます。
在留期間の制限がなく、条件を満たせば家族帯同や永住申請も可能なため、長期的なキャリア形成がしやすい制度です。企業側にとっては、安定した人材の確保と育成が可能になり、戦力として定着しやすいメリットがあります。
※参照元:【PDF】法務省「特定技能ガイドブック」https://www.moj.go.jp/content/001326468.pdf
2号の対象業務と必要なスキル
特定技能2号「宿泊」では、宿泊施設の中核業務を担うことが求められます。具体的な業務内容は次のとおりです。
- フロント業務:チェックイン・チェックアウト対応、観光案内、予約管理
- 企画・広報業務:宿泊プランの企画、館内案内の作成、SNS運用
- 接客業務:宿泊客対応、館内案内、問い合わせ対応
- レストランサービス業務:注文受付、配膳・片付け、料理の準備
また、特定技能2号を取得するには、2年以上の実務経験と従業員を指導した経験が必要です。
【試験情報】宿泊分野 特定技能2号試験について
特定技能2号「宿泊」を取得するには、宿泊業技能試験センターが主催する宿泊分野特定技能2号評価試験に合格する必要があります。この試験は、宿泊業の現場で即戦力となる人材を確保するために設けられています。
試験に合格した外国人材は、2年以上の実務経験があり、宿泊施設の運営を支える能力を備えています。企業にとっては、在留期間の制限なく長期雇用が可能となり、安定した労働力の確保につながります。
また、一定の条件を満たせば家族の帯同も可能であり、従業員の定着率向上が期待できます。
- 試験名:宿泊分野特定技能2号評価試験
- 試験内容:学科試験50問、実技試験20問
- 日本語能力試験:受験可能な言語は日本語
- 試験実施機関:宿泊業技能試験センター
- 試験実施国:日本および一部の海外会場
- 合格率:学科・実技ともに65%以上の正答率
※参照元:特定技能試験|プロメトリックhttps://www.prometric-jp.com/ssw/test_list/archives/13
特定技能2号の外国人人材を採用する方法
直接採用
直接採用は、企業が自ら候補者を探し、雇用契約を結ぶ方法です。自社のニーズに合った人材を柔軟に選ぶことができ、人材紹介手数料が不要というメリットがあります。また、採用後のマネジメントを一貫して行えるため、企業文化に適応しやすい環境を作ることが可能です。
しかし、ビザ申請や在留資格の取得などの手続きが企業側の負担となる点がデメリットです。さらに、適切な人材を見つけるための求人広告やスカウト活動には時間とコストがかかり、書類審査や面接などのプロセスも慎重に進める必要があります。
人材紹介会社を活用
人材紹介会社を活用することで、企業は即戦力となる人材を迅速に採用できます。ビザ申請や在留資格取得手続きを専門家が代行するため、企業側の負担を軽減できる点が大きなメリットです。
さらに、求人募集や面接設定、採用後のフォローまで一括してサポートを受けられるため、スムーズな採用が可能です。
一方で、人材紹介会社を利用する場合は、紹介手数料が発生するため、採用コストが増加する可能性があります。また、紹介された人材が企業の文化に適応するかどうかを慎重に判断する必要があります。
まとめ
特定技能2号「宿泊」は、宿泊業の中心的な業務を担う熟練した外国人材に適用される在留資格です。在留期間の制限がなく、一定の条件を満たせば家族の帯同も可能なため、長期的な雇用戦略に適しています。企業にとっては、安定した人材を確保し、業務の継続性を維持できる点が大きなメリットです。
採用方法には、直接採用と人材紹介会社の活用の2つがあります。直接採用では、自社の方針に合った人材を自由に選べるものの、ビザ申請や在留資格手続きの負担が大きくなります。一方、人材紹介会社を活用すると、採用プロセスの負担を軽減しながら即戦力となる人材を確保しやすくなります。
宿泊業で特定技能2号の外国人人材を受け入れることを検討している場合は、事業規模や人材ニーズを考慮し、自社に最適な採用方法を選択しましょう。
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