技能実習とは
技能実習制度は、日本の技術や技能を発展途上国の外国人に習得してもらい、帰国後に母国の産業発展に貢献してもらうことを目的とした制度です。これは、単なる労働力確保ではなく、国際貢献を目的として設計されています。基本的に転職はできません。
宿泊業においても、旅館業法に基づくホテル・旅館が技能実習の対象となっており、一定の要件を満たすことで技能実習生の受け入れが可能です。
技能実習の仕組み
技能実習制度には「企業単独型」と「団体監理型」の2つの受け入れ方式があります。
- 企業単独型:日本企業が海外の現地法人や取引先の職員を直接受け入れる方式。
- 団体監理型:監理団体(事業協同組合や商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業で技能実習を実施する方式。
実際には、企業単独型は大企業向けの方式であり、中小企業を含む多くの宿泊業者は「団体監理型」によって技能実習生を受け入れています。
技能実習の受け入れ要件
宿泊業で技能実習生を受け入れるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 技能実習計画の作成・認定:監理団体と協力し、技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。
- 技能実習責任者・指導員・生活指導員の配置:企業は技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を配置し、適切な指導とサポートを必要があります。
- 技能実習日誌の作成:技能実習の進捗を記録し、監査時に提出できるよう管理が必要です。
- 宿舎の用意:実習生が生活できる住居(最低4.5平方メートル以上)の確保が必要です。
- 保険加入:技能実習生は社会保険や労働保険への加入が義務付けられています。
- 最低賃金以上の給与支払い:技能実習生にも最低賃金法が適用され、適正な給与を支払う必要があります。
技能実習1号、2号の違い
技能実習制度には技能実習1号と技能実習2号の2つの段階があります。1号では入国後約1ヶ月の座学研修を受けた後に企業で実習を行い、試験なしで受け入れが可能です。
2号へ移行するには技能検定基礎2級相当の技能評価試験に合格する必要があり、移行後はより実践的な業務が可能となります。
従事できる業務
宿泊業における技能実習生は、チェックイン・チェックアウト対応、利用客の送迎、滞在中の接客、会場の準備・整備、料理・飲み物の提供、利用客の安全確保と衛生管理、その他の安全衛生業務といった必須業務に従事できます。
関連業務として客室の清掃・整備、周辺業務として食器洗浄作業も行えますが、深夜業務や清掃業務のみを行わせることは認められていません。清掃やベッドメイキングが主な業務となる場合は、「ビルクリーニング職種」での受け入れが必要です。
採用するには
技能実習生を採用するには、まず信頼できる監理団体を選定し、送り出し機関との連携を確認します。次に、監理団体の指導のもとで技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構へ申請を行います。
技能実習生の選定・面接を経て、在留資格を申請し、入国後1ヶ月間の講習を受けた後、企業での実習を開始し、指導員が業務をサポートします。
まとめ
特定技能と混同しやすい技能実習資格(ビザ)についてまとめました。外国人採用を検討する際は、資格の種類=従事させられる業務の種類や制限に注意が必要です。
当サイトでは、外国人材の雇用を検討しているホテル・宿泊業の施設運営に関わる法人向けに、国内ホテルでの成功事例・複雑な制度や手続きの解説・宿泊業に特化した外国人材紹介サービス(人材紹介会社)の比較などのコンテンツを掲載していますので、是非お役立てください。
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