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特定技能所属機関とは何か?申請書類と登録のポイント

特定技能所属機関とは何か考える人々

介護施設で外国人を受け入れようか検討するなら「特定技能所属機関」について理解しておくことが重要です。
この記事では、特定技能所属機関とは何か、特定技能所属機関になるために必要な要件や登録のポイントを紹介します。

特定技能所属機関とは

特定技能所属機関とは、在留資格「特定技能」を持つ外国人を受け入れる企業や個人事業主を指します。この在留資格は、深刻化する日本の労働人口の人手不足に対応するため、2019年に創設されました。

特定技能所属機関は、「特定技能」の在留資格を持つ外国人を受け入れて雇用契約を結ぶ企業や個人事業主を指します。ただ、人手不足に悩む企業や個人事業主なら誰でも特定技能所属機関に登録できるわけではありません。
登録を認めてもらうための要件を見てみましょう。

労働関係法令および
社会保険関係法令などの遵守

特定技能所属機関に登録した企業が遵守する法令は、労働関連、社会保険関連、租税関連の法令です。

  • 労働関連の法令…労働基準法などに則って、外国人と雇用契約を結んでいること。また、雇用保険と労災保険の手続きを行っていること。保険料も納めていること。
  • 社会保険関連の法令…社会保険料を納めていること。
  • 租税関連の法令…国税や地方税を納めていること。

雇用保険と労災保険の手続きと保険料を納めることは、適用事業所のみが法令遵守の対象です。
社会保険料と国税、地方税が未納の場合は、自社(介護施設)がある地域を管轄する出入国在留管理局の指導に基づいて納めると、法令遵守の対象と判断されます。
社会保険料や国税、地方税の納付状況は「納税証明書」で確認できるので、この証明書を出入国在留管理局へ提出し、税金を納めていることを認めてもらいましょう。

欠格事由に該当しないこと

特定技能所属機関となるには、登録を希望する企業や個人事業主自体が「外国人の受け入れ先として適切かどうか」の判断も受けなければなりません。
受け入れ先として認められない理由を「欠格事由」といいますが、下記の欠格事由に該当すると特定技能所属機関として認められません

  • 禁錮以上の刑事罰を受けた者
  • 出入国または労働に関する法令に違反し、罰金刑を受けた者
  • 暴力団に関する法令や刑法に違反し、罰金刑を受けた者
  • 社会保険や労働保険などに関連する法令において違反し、罰金刑を受けた企業

欠格事由のうち、禁固刑以上の刑事罰や罰金刑を受けた者(あるいは企業)は、刑罰の執行が終わってから5年を経過しないと特定技能所属機関になることはできません。

参照元(PDF):出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和6年12月)(https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf)

特定技能所属機関が満たすべき実績基準

特定技能所属機関として認定されるためには、一定の実績基準を満たすことも求められます。これには、過去の雇用実績や事業の健全性、特定技能外国人の適切な支援体制が含まれます。

  • 過去の雇用実績
    過去の雇用実績とは、過去2年間に技能実習や在留資格「介護」などの外国人の受け入れや管理を適切に行った実績を指します。この項目は他にも「適合1号特定技能外国人支援計画」の実施責任者や支援担当者を、条件に沿って選任していたかどうかも含まれます。
  • 事業の健全性
    その企業の役員もしくは職員で、過去2年間に技能実習や在留資格「介護」などの外国人の生活相談を受ける業務経験がある人物を、条件に沿って選任していたかどうかがポイントです。
  • 支援体制の整備
    「過去の雇用実績と事業の健全性に該当する人物と同じくらい、外国人の支援業務を適切に実施することができる」と、出入国在留管理庁長官が認めることです。

特定技能所属機関が遵守すべき義務

特定技能所属機関は、特定技能外国人が安定的に就労できるよう、以下の義務を果たす必要があります。

雇用契約の履行

特定技能外国人と締結する雇用契約は、業務内容や報酬、福利厚生などが日本人スタッフと同等であることが求められます。「外国人だから」という理由で日本人スタッフと差別化した雇用契約を結ぶことは認められません。

なお、特定技能の外国人が受け入れ期間中に一時帰国を希望した場合、介護施設側は有給休暇を取得させる義務があります。万が一外国人が年次有給休暇を使い切ってしまっていても、追加休暇の取得を認めるなど配慮が必要です。

支援の実施

特定技能所属機関は、特定技能外国人が日本で円滑に生活・就労できるよう、以下の支援を実施する義務があります。

  • 入国前オリエンテーションの実施
  • 住居の確保や生活に必要な契約の支援
  • 日本語学習の支援
  • 相談・苦情対応
  • 定期的な面談の実施

これらの支援を適切に行うことで、特定技能外国人の定着と活躍を促進します。
特定技能の外国人への支援を円滑に行うために作成する「外国人支援計画書」は、特定技能の雇用契約終了後1年間は受け入れた施設で保存しなければいけないのでご注意ください。

届出の提出

特定技能所属機関に登録された介護施設は、特定技能外国人を受け入れるときと受け入れ期間中に、管轄の出入国在留管理局への届出が義務付けられている書類があります。
届出書の提出は管轄の出入国在留管理局に持参する、郵送する以外では、出入国在留管理庁電子届出システムを利用して提出することも可能です。


出入国在留管理庁電子届出システムはあらかじめ利用者登録が必要ですが、持参したり郵送したりするより早く提出できるので、特定技能所属機関に登録されたら利用者登録も行うと良いでしょう。

なお、届出の提出を怠ると罰金が科される可能性があります。
届出を提出しても特定技能所属機関の基準を満たしていないと判断された場合は、管轄の出入国在留管理局から助言や指導が入ります。
助言や指導に従わないと改善命令が出されたり、特定技能所属機関の登録取り消しにもなりかねないため、届出は不備なく遅延なく提出しましょう。

届出が必要な申請書類の一覧とその詳細

特定技能所属機関が提出すべき主な届出は以下のとおりです。

  • 特定技能雇用契約に関する届出
  • 特定技能外国人の支援計画に関する届出
  • 特定技能外国人の支援委託契約に関する届出
  • 特定技能外国人の受け入れが困難になった場合の届出
  • 出入国または労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出

上記の各届出には提出期限が定められており、事由発生から14日以内に届け出なければなりません。

その他に、四半期ごとの提出が求められている書類もあります。

  • 特定技能外国人の受け入れ状況(人数、活動内容など)に関する届出
  • 特定技能外国人び支援計画に基づいた支援実施状況を報告するための届出
  • 特定技能外国人への報酬支払状況を報告するための届出

届出によっては、届出書以外にも一緒に提出することが求められる書類もあるため、あらかじめ出入国在留管理庁や厚生労働省のホームページなどをご確認ください。

登録支援機関に委託可能な業務内容

特定技能所属機関は、自ら支援業務を行うことも可能ですが、登録支援機関に委託することもできます。
登録支援機関とは「特定技能所属機関から依頼を受けて、特定技能1号に該当する外国人が円滑に活動するため、在留期間中の支援計画の作成や実施を行う機関」のことです。
以下に、登録支援機関へ委託可能な業務内容をまとめました。

委託可能な業務内容

  • 事前ガイダンスの提供
    特定技能の外国人受け入れが決まったあと、外国人向けに雇用契約内容の説明、入国手続き、入国後のサポート内容などを説明します。
    認識に齟齬が生じると入国後にトラブルになる可能性があるため、日本語での理解が難しい外国人には「その人が理解できる言語」で説明を行います。
  • 生活支援の提供
    住居の確保(賃貸物件の契約)、銀行口座の開設、携帯電話、ライフライン契約の手続き支援、医療機関の案内や行政手続きの補助などがあります。
  • 就労環境の整備
    登録支援機関の担当者が定期的に受け入れ先を訪問し、特定技能の外国人の状況を確認します。また、外国人本人とその上司に対して定期面談(3ヶ月に1回以上)を行い、法令違反していないかチェックすることも重要な役割です。
    特定技能の外国人には、定期面談とは別で相談や苦情を受け付けて対応することも行います。
  • 日本語学習の支援
    外国人の日本語能力向上のため、日本語の研修を開催したり教材を提供したりします。
    この支援は日本に来たばかりの頃だけでなく、継続して支援することが求められます。
  • コミュニケーション支援
    特定技能所属機関の日本人と外国人同士はもちろん、外国人が暮らす地域の行事に参加する機会や、地域住民と交流できる場の提供などがあります。
    さまざまな人と関わりを持つ機会を増やすことで、外国人の日本語能力の向上や日本文化への理解も深まります。
  • 生活オリエンテーションの実施
    生活オリエンテーションとは、日本で暮らすうえで必要なルールやマナーを外国人に教える支援です。交通ルール、金融機関の利用方法、災害が起きたときの対応や避難場所の確認など、生活に欠かせないことを教えます。

これらの支援はとても範囲が広いので、特定技能所属機関だけで対応するのはかなり大変です。ですが登録支援機関を活用することで、特定技能所属機関が行う支援の負担を軽減し、円滑な外国人の受け入れが可能となります。

まとめ

特定技能所属機関として認定されるためには、法令を遵守し、外国人が安心して働ける環境を整えることが求められます。
今後、外国人労働者の受け入れがますます重要になるため、いつでも特定技能所属機関として登録を認めてもらえるよう整備しておきましょう。