介護業界では、深刻な人手不足が続いています。この課題を解決するために、多くの事業者が外国人労働者の採用を検討しています。その中でも注目されているのが、ミャンマーの特定技能人材です。この記事では、ミャンマー人の特性や文化の魅力、採用時の具体的な流れ、さらに注意すべきポイントを紹介します。
ミャンマーの特定技能介護人材の採用に関する基礎知識を深め、どのような準備や対応が必要かが分かる内容となっています。
ミャンマーの特定技能人材の魅力
人に尽くす
ミャンマーの国民の約90%は仏教徒(※1)であり、「徳を積む」という考えが根付いています。これは、人のために尽くすことが自らの幸福につながるという価値観に基づいているからです。
そのため、介護職のような人々を支える仕事に向いていると言えます。また、年上の人や目上の人に対する敬意も強く、日本の介護現場で重要なマナーや礼儀を自然に実践できます。
※参照元:外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/data.html(2023.3.17時点)
おっとりとした性格
温暖な気候で育ったミャンマー人は、おっとりとした性格の人が多いと言われています。どんなに忙しい状況でも笑顔を絶やさず、周囲を和ませる雰囲気を持っています。
介護現場ではストレスの多い場面も少なくありませんが、ミャンマー人のこの性格は、利用者に安心感や親しみを与え、和やかな雰囲気を作る力があります。また、チームの中でも周囲と良好な関係を築きやすく、協力して働く場面で大きなメリットとなるでしょう。
日本語の上達が早い
ミャンマーの公用語であるビルマ語は、文法構造が日本語と似ている部分が多いため、比較的短期間で日本語を習得しやすいと言われています。また、事前に日本語を勉強してから来日するミャンマー人も少なくありません。そのため、介護施設内でのコミュニケーションや業務指導もスムーズに進めやすいです。
若い労働力が多い
ミャンマーの平均年齢は約29歳(※2)で、活気のある若い人材がたくさんいます。これに対し、日本の平均年齢は約49歳であり、若い労働力を求める介護現場にとっては大きな魅力です。さらに、若い世代は新しい知識やスキルを吸収するのが早いので、長期間の就労も期待できるでしょう。
※2参照元:日本経済新聞:https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00002160U2A820C2000000/ ※2023.1.12時点(サイトの最終更新時期)
ミャンマー人を受け入れるまでの流れ
1.特定技能雇用契約の締結
まず、受け入れ機関は特定技能試験に合格したミャンマー人、または技能実習2号・3号を良好に修了した人材と雇用契約を締結します。この契約では、給与や労働時間、福利厚生などの条件を明確に定める必要があります。
2.在留資格認定証明書の交付申請
雇用契約を締結した後、受け入れ機関は地方出入国在留管理官署に「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。この証明書は、外国人が特定技能人材として日本で就労するために必要な書類です。
3.ビザ発給の申請
証明書が交付されたら、ミャンマー人本人に原本を郵送します。その後、本人は在ミャンマー日本大使館に証明書を提出し、特定技能ビザの申請を行います。この手続きにより、正式に日本での就労が認められます。
4.住居の準備や現場職員への説明
ミャンマー人が日本に到着する前に、住居の確保や職場環境の整備を行います。また、現場職員に対してミャンマーの文化や宗教について説明会を開くことが重要です。これにより、受け入れ後のトラブルを未然に防ぎ、円滑な労働環境を整えることができます。
5.ミャンマーを出国
必要な手続きが全て整った後、ミャンマー人は日本に向けて出国します。空港でのサポートや渡航費用の負担についても事前に確認しておくことが大切です。
6.在留資格認定証明書交付の申請
日本国内での手続きとして、再度在留資格に関する確認が必要です。地方の入管庁に申請を行い、認定証明書の交付を受けます。
7.特定技能ビザの取得
特定技能ビザが正式に発行されると、ミャンマー人は日本での就労が可能となります。この時点で、在留カードも発行されます。
8.就労開始
全ての手続きが完了すると、ミャンマー人は「特定技能」資格を持つ労働者として正式に就労を開始します。雇用開始後は、受け入れ機関が支援計画に基づき、定期的なフォローアップを行う必要があります。
ミャンマー人を受け入れる際の注意点
宗教や慣習の理解を深めておく
ミャンマーでは仏教が国教であり、宗教的行事や慣習が日常生活に深く根付いています。そのため、ミャンマー人が働きやすい環境を整えるために、宗教や文化に対する理解を深めることが重要です。たとえば、勤務スケジュールを組む際に宗教行事の日程を考慮するなどの配慮が求められます。
思ったことを発言できないケースもある
ミャンマー人は年上や上司を敬う文化があり、指示に対して意見を述べることをためらう場合があります。そのため、事業者側はコミュニケーションの取り方を工夫し、定期的に本人の意見や要望を確認することが必要です。例えば、面談やアンケートを活用して、直接言いにくい内容を把握する仕組みを整えると良いでしょう。
まとめ
介護業界の人手不足対策として、ミャンマーの特定技能人材が注目されています。ミャンマーの方は仏教文化の影響で人に尽くす精神が強く、敬意を重んじるため介護職に適しています。おっとりとした性格や日本語の習得の早さも魅力です。採用には在留資格取得や住居準備が必要で、文化や宗教への理解も求められます。意見を言いづらい傾向があるため、定期的な対話を促す工夫が大切です。適切な準備で円滑な受け入れが可能になるでしょう。
Global Talent Station
